- 国際物流総合展2026では、自動化・省人化・AI・データ活用が、より現実的な実装テーマになっていると感じました。
- 一方で、最新技術を活かすには、業務設計・標準化・データ整備が前提になります。
- 展示会後にパートナーとZenLogiの未来を語り、経営者は未来を語れなければいけないと改めて感じました。
2026年9月11日、東京ビッグサイトで開催された国際物流総合展2026に参加してきました。
国際物流総合展2026は、2026年9月8日から9月11日まで、東京ビッグサイトの東1~3、7・8ホール、西1~4ホールで開催された大規模な物流展示会です。公式サイトでは、展示会テーマとして「知恵と技術で、物流の未来を切り拓く。」が掲げられていました。
私は物流展には何年も前から足を運んでいます。
以前は、フォークリフト、ラック、マテハン、搬送機器など、物流現場を支える設備を見る場という印象が強くありました。しかし近年は、そこにAI、データ活用、WMS、TMS、ロボット、シミュレーションが重なり、物流展そのものの意味合いも変わってきているように感じます。
今回も、信頼できるパートナーと会場を歩きながら、物流業界の今とこれからについて多くの気づきを得ることができました。
1. 物流展を歩いて感じた最大の変化
今回、会場を歩いて最も強く感じたのは、自動化・省人化が“将来の話”ではなく、かなり現実的な検討テーマになっているということです。
倉庫自動化、AMR、AGV、無人フォークリフト、WMS、WES、TMS、AIカメラ、デジタルツイン、シミュレーション。こうした言葉は数年前からありましたが、今回はより具体的に、現場導入や投資判断に近い形で打ち出されている印象を受けました。
公式サイトの出展者プレゼンテーションセミナーでも、最終日の9月11日には、物流倉庫の無人化・自動化、フィジカルAI時代のWES、物流現場のAI・ロボット活用、拠点集約と共同配送のためのシミュレーション活用、輸送データ基盤とAIによる物流管理などのテーマが並んでいました。
一方で、会場を歩きながら感じたのは、技術そのものが主役というより、技術をどう業務に組み込むかが問われる段階に入っているということです。
Amazonで物流に関わっていたときにも感じましたが、大きな物量を安定して動かすには、人の頑張りだけでは限界があります。標準化された業務、データに基づく判断、例外を例外として管理する仕組みがあって初めて、スピードと品質を両立できます。
物流展で見た自動化・AI・ロボットの進化は非常に魅力的でした。ただし、それを自社の物流にどう使うかを考えるには、まず自社の業務がどこまで整理されているかを見なければなりません。
2. 自動化は進むが、標準化なしでは機能しない
物流展では、ロボットや自動搬送機、倉庫自動化設備が非常に目を引きます。
しかし、物流コンサルの立場で見ると、設備そのものよりも、その前提となる業務設計が重要だと感じます。
例えば、倉庫自動化を進めるには、以下のような整理が必要です。
- 商品マスタは整っているか
- 荷姿や外装サイズは標準化されているか
- ロケーションルールは明確か
- 作業手順は人によってバラついていないか
- 例外処理が多すぎないか
- 自動化後に見るべきKPIは決まっているか
味の素物流で食品物流や幹線輸送に関わっていた頃から、物流効率化の前提には標準化があると感じていました。
荷姿、パレット、積付け、検品、納品条件がバラバラなままでは、自動化しても効果は限定的です。むしろ、業務のバラつきがそのまま機械やシステムの中に持ち込まれてしまいます。
物流展で見るべきなのは、設備の新しさだけではありません。自社の業務が、その設備を使える状態になっているか。この視点が必要だと思います。
公式サイトでも、国際物流総合展2026の出展対象には、搬送・仕分け・ピッキング、産業車両、情報機器・ソフトウェア・AI、パレット・コンテナ・保管機器、3PL・コンサルティングなど、幅広い領域が含まれています。つまり、物流改善は一つの設備やシステムだけで完結するものではなく、複数の要素を組み合わせて考える必要があるということです。
3. DXは“システム導入”から“意思決定の仕組み”へ
物流DXという言葉は、以前よりかなり一般化しました。
ただし、今回の物流展を歩いていて感じたのは、DXのテーマが単なるシステム導入から、意思決定の仕組みづくりに移ってきているということです。
配送効率を上げる。倉庫作業を効率化する。荷待ち時間を削減する。共同配送を検討する。拠点を再配置する。運賃交渉を行う。
これらを進めるには、システムだけでは足りません。
必要なのは、データを集めることではなく、そのデータを使って何を判断するかです。
サンドラッグECで物流に関わっていたときには、EC特有の出荷波動や在庫、梱包、配送キャパシティの難しさを強く感じました。注文が集中すれば、倉庫作業も配送も一気に負荷が高まります。作業能力、在庫配置、梱包、配送能力がつながっていなければ、どこかに無理が出ます。
だからこそ、DXは単にWMSやTMSを入れることではありません。販売、在庫、倉庫、配送、コストのデータをつなぎ、経営判断に使える状態にすることが重要です。
今回の展示会でも、物流法改正対応、バース管理、AI、ロボット、TMS、運賃交渉資料、共同配送シミュレーションなど、単なるシステム紹介にとどまらないテーマが多く見られました。
物流は、物流会社に任せるだけの時代ではなくなっています。荷主側が、物流条件、コスト構造、納品条件、物量波動、KPIを理解し、自社の意思決定として物流を設計する必要があります。
4. 共同配送・標準化は、理想論ではなく実務のテーマになっている
今回の物流展では、共同配送や物流標準化に関するテーマも改めて重要だと感じました。
ファミリーマートで店舗配送に関わっていた時にも感じましたが、配送は単に車両を減らせばよいというものではありません。
店舗オペレーション、納品時間、検品方法、商品特性、温度帯、センター運用、情報連携。これらがつながって初めて、配送は安定します。
共同配送も同じです。
同じ方面に運んでいるから一緒に運べる、というほど単純ではありません。納品条件、荷姿、温度帯、出荷波動、費用負担、データ連携がそろわなければ、実務ではなかなか進みません。
公式セミナーでも、拠点集約と共同配送のためのシミュレーション活用や、荷主・3PL・輸送業の物流DXがテーマとして取り上げられていました。
また、展示会テーマでは、データやAIによる最適化・自動化が進む未来においても、物流の根幹には「人」が存在し、人の知恵と技術が不可欠であると説明されています。
この考え方には非常に共感しました。
物流改善に必要なのは、技術だけではありません。技術を使いこなすための知恵、現場を理解する力、業務を設計する力が必要です。
5. 物流の基本は、最後は人と現場に戻る
ヤマト運輸で物流の基本に触れた経験からも、輸配送は最後は人と現場で成り立っていると感じています。
どれだけシステムが進化しても、荷物を動かすのは現場であり、ドライバーであり、倉庫やセンターの運用です。
物流展では、新しい技術や設備に目が行きます。もちろん、それを見ることは大事です。
ただ、私は常に、以下のような視点で見るようにしています。
- これは本当に現場で使えるのか
- 運ぶ人、受ける人、管理する人の負荷はどう変わるのか
- 導入した後に、誰がどう運用するのか
物流改善は、机上の設計だけでは進みません。現場の制約、担当者の判断、荷主側の条件、物流会社の事情、納品先の受け入れ体制が絡み合います。
だからこそ、展示会で最新技術を見るときも、単に「すごい」で終わらせるのではなく、自社やクライアントのどの課題に使えるのかという目線が必要です。
6. 何年も通っているからこそ見える変化
私は物流展に何年も前から参加しています。
以前は、物流展というと、マテハン機器や倉庫設備、フォークリフト、保管機器など、ハードウェアの印象が強かったように感じます。
もちろん今回も、ハードウェアの存在感は大きくありました。しかし、そこにAI、データ、シミュレーション、WMS、WES、TMS、ロボット制御、荷待ち・荷役時間の可視化といったテーマが重なり、物流改善の範囲が大きく広がっていると感じました。
国際物流総合展2026の公式サイトでは、出展対象として、搬送・仕分け・ピッキング、産業車両、パレット・コンテナ、保管機器、情報機器・ソフトウェア・AI、3PL・コンサルティングなど、物流に関わる幅広い領域が示されています。
実際に会場を歩いていても、ハードウェアだけでなく、AI、データ活用、システム連携、シミュレーション、業務改善支援まで、物流改善の対象が大きく広がっていると感じました。
物流業界は、単に「運ぶ」「保管する」だけではなく、データで設計し、技術で実装し、人が運用する領域に変わってきていると感じます。
7. 信頼できるパートナーと回る意味
今回の物流展は、信頼できるパートナーと一緒に回りました。
展示会は、一人で回ってももちろん勉強になります。ただ、誰かと一緒に回ることで、見え方が変わります。
同じ展示を見ても、注目するポイントは人によって違います。
- これは現場に入るのか
- これは荷主にとって価値があるのか
- これはコストに見合うのか
- これは今のクライアントに提案できるのか
- これは将来のZenLogiのサービスに組み込めるのか
こうした会話をしながら回ることで、単なる情報収集ではなく、次の打ち手を考える時間になります。
公式サイトでも、国際物流総合展は、物流にフォーカスした交易振興、技術向上、情報提供、人的交流を促進する場として説明されています。まさに今回、私はその「人的交流」の価値も強く感じました。
物流展は、展示を見る場であると同時に、自分たちの事業の未来を考える場でもあります。
8. 新橋のやきとり屋で語ったZenLogiの未来
展示会が終わった後は、新橋のやきとり屋で、パートナーと今後のZenLogiについて話しました。
今回訪問した”長政”は、とりかわがうまい店です。公式サイトでも「博多本格とりかわ」を看板にしており、時間をかけて仕込み、外はカリッと中はジューシーに仕上げていると紹介されています。
物流展を歩き回った後に、美味しいとりかわを食べながら、物流の未来やZenLogiのこれからについて語る時間は、とても楽しいものでした。
目の前の案件を進めることも当然大事です。しかし、それだけでは会社は広がりません。
経営者は、未来を語れなければいけないと思っています。
「この先、物流はどう変わるのか」「ZenLogiはその中で何を提供するのか」「どの領域に踏み込むべきなのか」「誰と一緒に進むのか」
こうした話を、信頼できるパートナーとできること自体が、会社にとって大きな財産だと感じました。
物流コンサルティングは、目の前の課題を解決する仕事です。一方で、クライアントの未来を一緒に考える仕事でもあります。
だからこそ、私自身もZenLogiの未来を語り続けなければならない。今回の展示会と、その後の時間を通じて、そう感じました。
まとめ
国際物流総合展2026に参加して感じたのは、物流業界の変化がさらに加速しているということです。
自動化、省人化、AI、データ活用、共同配送、CLO、荷待ち・荷役時間の可視化、運賃交渉、拠点再設計。これらは別々のテーマに見えますが、根底ではつながっています。
重要なのは、最新技術を追いかけることだけではありません。
自社の物流をどう設計するのか。どのデータを見て判断するのか。どの業務を標準化するのか。どの部分をAIやロボットに任せるのか。どの部分を人が担うのか。
物流改善は、ますます経営課題になっています。
今回の物流展は、そのことを改めて実感する機会になりました。
そして同時に、ZenLogiとしても、信頼できるパートナーと未来を語りながら、物流業界に貢献できる形を作っていきたいと強く感じました。
よくある質問
Q1. 物流展示会に参加する意味は何ですか?
物流展示会では、Web記事やカタログだけでは分からない実機の動き、出展企業の考え方、来場者の関心領域を直接確認できます。物流業界の最新トレンドを肌で感じる場として有効です。
Q2. 物流DXやAI活用は、すぐに導入すべきでしょうか?
重要なのは、技術導入を急ぐことではなく、自社の業務やデータが活用できる状態になっているかを確認することです。業務ルール、マスタ、KPIが整っていない状態では、DXやAIの効果は限定的です。
Q3. 国際物流総合展で感じた今後の物流改善の方向性は何ですか?
自動化・省人化に加え、データを使った意思決定、業務標準化、荷主側の物流設計力がより重要になっていくと感じました。物流は現場改善だけでなく、経営判断のテーマになっています。
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【参考文献・出典】
・国際物流総合展2026 公式サイト
・博多とりかわ長政 公式サイト
